連載初回の今回は、介護職に関する報道について考えてみたいと思います。この記事を読まれている方の中には、ボランティア活動を実践されていたり、福祉や医療の現場に勤務され、世間一般で言う「福祉実践」と何らかの関わりがある方も多いと思います。一方で、福祉や医療の実践現場とはほとんど関わりがないという方もいらっしゃるでしょう。そう考えると、私の話に必ずしも興味がある方ばかりではないかもしれませんが、出来るだけ分かりやすく書いていきますので、気楽に読んでいただけたらと思います。
さて、野茂秀雄という大投手が、アメリカ大リーグで大活躍していたのは、まだ皆さんの記憶に新しい出来事でしょう。彼は、並みいる大リーグの強打者を相手に、自慢の速球とフォークボールで三振の山を築き、「ドクターK」と呼ばれていました。野球のスコアブックで、三振を「K」と表すことからつけられたニックネームです。大リーグの球場で、野茂投手が三振を奪う度に、「K」と書かれたボードを掲げるファンの映像が印象的でした。この「K」のボードを見る度に、私たちは日本の大投手を誇らしく思ったものです。
翻って巷では、介護の仕事を面白がって、3Kとか8Kとか11Kとか言っている人たちがいます。このKには、残念ながら、野茂投手につけられたニックネームのような、誇らしい意味はありません。もちろん、三振のKにも関係ありません。では、介護の仕事を表すKには、どんな意味があるのでしょう。以下、私が見聞きした「K」の意味です。キツイ、キタナイ、給料安い、暗い、怖い、腰痛い、彼氏出来ない、彼女出来ない、結婚出来ない、休暇が取れない、化粧ののりが悪い、…
これにははっきり言って、「バカヤローッ!!」と叫びたい気持ちで一杯です。これに加え、最近では、「介護の仕事はワーキング・プアの代表だ」といった報道までなされています。確かに、医師や銀行員、公務員一般職などの職業と比較すると、待遇面で介護の仕事は劣るかもしれませんが、一方で売上ノルマや長時間労働があるという話もまず聞きません。つまり、どんな職業にも「負の要素」と「正の要素」があり、一方だけに焦点を当てては正確な議論ができないということです。そして、介護の現場にはこのような「負の要素」など関係なくなってしまうほど大きな「正の要素」があると私は思っています。
事実、お笑い芸人や内装職人見習いをやっていた私は、介護の仕事はなんて素晴らしい仕事だろう!と感動したことを憶えています。利用者やご家族から「ありがとう」と言って頂ける仕事、歩けなかった方が歩けるようになったり、少しずつでも元気になって自立していく姿を目にできる仕事は、世の中にそう多くはないと思います。
また、自分の努力次第で、様々な施設や関連する資格にどんどんチャレンジし、ステップアップができるのもこの仕事の魅力です。私自身、最初は老人保健施設に就職しましたが、「特養(特別養護老人ホーム)も経験してみたい」とか、「医療的側面から高齢者をサポートしたい」といった思いから、老人ホームや病院などを離職(転職)しています。そして、最初はまったく無資格の介護職員でしたが、今では多くの資格を保持しています。
繰り返しになりますが、「負の要素」ばかりではなく、「正の要素」にも着目して欲しいと思います。介護の仕事に就く人がいなくなり、将来的に介護現場を疲弊させてしまうことだけは避けなければならないからです。
COLUMN
介護走り書き(連載1回目)