前号では、介護職員の離職理由について少しだけ触れました。今回は、この問題について、もう少し掘り下げてみたいと思います。ということで、今月は、この連載始まって以来の「超・真面目バージョン」です!(笑)
私はこの2年間、介護職員の離職問題をテーマに研究を行ってきました。具体的には、入職後3年以内の離職を「早期離職」と定義して、実際に早期離職を経験した介護職員一人ひとりに聞き取り調査を行ったのです。マスコミ報道等では、介護職員の離職理由と言えば真っ先に「賃金の低さ」が取り上げられることが多いのですが、当事者たちの話しを丁寧に聴いていくと、実はそうではないという事が分かりました。賃金の問題が全く語られていなかった訳ではありませんが、その何倍も、何十倍も、他の理由について語られていたのです。何も、語られた時間の長短がどうこうと言うつもりはありませんが、介護職員の早期離職には、賃金以外の理由が大きく影響していたということは紛れもない事実です。
介護職員の離職問題については、私が聞き取り調査を行う以前にも、多くのアンケート調査が行われてきました。また、私自身、医療や福祉の現場に勤務していた約10年間に、多くの離職者と関わってきました。これらの情報や経験をもとに介護職員の離職理由を概観すると、やりがい、人間関係、賃金といった「仕事上の問題」と、結婚や出産、転居や介護といった「家庭の問題」の2つに分けることが出来ます。さらに、それぞれには、自分自身の価値観や思いからわき起こってくる「内的要因」と、周囲からの強い影響による「外的要因」があると思います。これを図にすると、図1のようになります。私が聞き取り調査を行った結果、早期離職の最大の理由として挙げられていたのは、仕事上の問題かつ内的要因(図1でココ!と書いてあるところ)だったのです。
(このホームページでは、図を省略しています)
「ココ!」の一例として、青木さん(仮名;25歳・女性)の語りをご紹介します。青木さんは、最初に就職した施設を約1年で退職しました。その時の思いを振り返り、以下のように話してくれました。
最初に離職を意識したのは、他の職員の利用者に対する対応がおかしいって思った時だったと思います。全部の職員がってわけじゃないんですけど、何人か対応が悪い人達がいたんですね。私はこだわりがあったので、絶対流されないぞって思ってましたけど。そういう人達と一緒に働いていると、「自分は違う。もっとレベルの高い施設で働けるはずだ」とかって気持ちが芽生えてきたんです。そのあたりが、離職を意識したきっかけですね。その後は結構悩んじゃったんですけど。
悩んだ末にこの施設を退職した青木さんは、その後、別の福祉施設に再就職し、今年で5年目になりました。最近では、通常の介護業務だけでなく、新入職員の指導でも中心的な役割を果たし、バリバリ働いているとのことです。
青木さんのような離職理由は、決して特殊な例ではありません。次号では、離職経験者の語りからみえてきた介護福祉実践の問題について、さらに深く考えてみたいと思います。って、ちょっと真面目過ぎますかね(笑)
COLUMN
介護走り書き(連載4回目)